メロディックマイナースケールの四和音

ダイアトニックスケール四和音の解説、メジャースケール、ナチュラルマイナースケール、ハーモニックマイナースケールときまして、今回はメロディックマイナースケールの解説になります。

【今回のポイント】
●メロディックマイナースケール内の四和音
●ナチュラル、ハーモニックマイナーケールとの共通性
●各コードの機能

《目次》

メロディックマイナースケールから生まれる四和音

メロディックマイナースケールは、ハーモニックマイナースケールの欠点を補完する目的で生まれました。

ということで、まずハーモニックマイナースケールを見てみましょう。

ハーモニックマイナースケールの音の並びはこのようになっています。

1 – 2 – b3 – 4 – 5 – b6 – 7

このb6と7の間の音程が1音半もあるというのが特徴的でして、実際にスケールを音を出しながらなぞってみると、この音の飛び方がなかなか激しいのが実感してもらえると思います。

ほら、運指も大変!

ハーモニックマイナースケールの誕生で、マイナースケールでも5番目の音の上にドミナントセブンスコードが使えるようになりましたが、生まれたマイナースケールはメロディーに使いにくいスケールでした。

「うぅ〜ん、これはどうしたものかなぁ」
「隣の音も、半音上げたら良いんじゃね?」
「おぉ〜!お前天才じゃね?」

などという会話があったかどうかは知りませんが、ナチュラルマイナースケールのb7が半音上がって7になったことで広がった音程を、b6を6に底上げすることで音程を狭めることにしました。

「これで、メロディーの音飛びも解決じゃね?」
「マイナースケールで5のドミナントセブンスコードも使えるし完璧じゃね?」

確かに、これでマイナースケールで念願の5番目の音のドミナントセブンスコードが使えるようになると同時に、メロディーの不具合も解消されました。

これが究極のマイナースケールか!!

…と思われたのも束の間…

「あれ?このスケールって上昇中はマイナーっぽいけど、下降する時ってなんかマイナーに聞こえなくね?」
「確かに…。よくよく見たら、これってb3以外はメジャースケールじゃね?」
「嘘だろ〜!ここまで来てマイナー感が台無しかぁ〜!」

そうなんです。
ハーモニックマイナースケールのb6を半音上げて生まれたマイナースケールは、メジャースケールととてもよく似たスケールになっていて、b3を含まないフレーズではメジャースケールと区別がつかない状態となっていました。

それでも、上昇の際にはb3が早い段階でマイナー感を出してくれるので、それほど違和感はないのですが、下降する時にはそのままメジャースケールに聞こえてしまうので、マイナースケールには聞こえないという残念な結果となってしまいました。

「せっかく、ここまで来たのに捨てるのって勿体なくね?」
「だよな〜、どうすっかぁ〜。」
「下降する時だけナチュラルマイナースケールをこっそり使ったら良くね?」
「おぉ、お前天才じゃね?」

ということで、新しいマイナースケールは上昇時に使用、下降時はナチュラルマイナースケールを使うというハイブリッド型のマイナースケール「メロディックマイナースケール」の誕生となりました。

上昇と下降を合わせてメロディックマイナースケールなのですが、ダイアトニックコードを考える際には上昇系の音列で考えます。

音の並びはこのようになります。

1 – 2 – b3 – 4 – 5 – 6 – 7

マイナーの曲でもV7-Imが使え、かつその中でもメロィーが滑らかに繋がるスケールがメロディックマイナースケールということですね。

メロディックマイナースケールの構成音から生まれた上記の7つのコードが、メロディックマイナースケールのダイアトニックコード (四和音)になります。

ハーモニックマイナースケールとの違い

メロディックマイナースケール(上昇型)とハーモニックマイナースケールとの違いは6番目の音がナチュラルか、フラットかという点です。

ですので、ダイアトニックコードの違いも6の音を含むコードのみとなり、それ以外のコードはハーモニックマイナースケールと同じです。

結果として、ナチュラルマイナースケールからハーモニックマイナースケールになった際に変わらなかったコードと7番目のコードが変わることになりました。

これで、ナチュラルマイナースケールと共通するダイアトニックコードは無くなって、ハーモニックマイナースケール、メロディックマイナースケールを経て、ダイアトニックコードが全部変更となりました。

ハーモニックマイナースケールの際には聴き慣れないコードが登場しましたが、メロディックマイナースケールには新しいコードは登場しないので、ハーモニックマイナースケールに比べてコードが覚えやすいです。

しかも、4番目と5番目、6番目と7番目は同じコード、しかも2番目と5番目と7番目はそれぞれメジャースケールと共通なので、そのような法則性を覚えておくとダイアトニックコードを忘れても思い出しやすいです。

メロディックマイナースケールのコードの機能

ハーモニックマイナースケールと共通する1、b3、5上のコードの機能は共通なので新しく覚え直す必要はありません。

ImM7 (1-b3-5-7)   /トニック
bIIIMaj7#5 (b3-5-7-2) /トニックグループ
V7 (5-7-2-4)     /ドミナント

メロディックマイナースケールで変更になったコードの機能は、このようになっています。

IIm7 (2-4-6-1)   /サブドミナントグループ
IV7 (4-6-1-b3)   /サブドミナント(場合によってトニックグループ)
VIm7b5 (6-1-b3-5) /トニックグループ (Im6と同じ構成音)
VIIm7b5 (7-2-4-6) /ドミナントグループ

IIm7
メジャースケールと同じコードという点が他のマイナースケールと違います。2番目のコードは4番目のコードと構成音がかなり共通しているので、サブドミナントグループの代表的なコードです。これはメジャースケールでも3つのマイナースケールでも同じですね。

IV7
4番目のコードはメジャースケールでも、3つのマイナースケールでもサブドミナント確定です。ドミナントセブンスコードなのに面白いですね。1とb3を含んでいてトニックの響きと共通しているので、トニック的な使い方もあるようです。

VIm7b5
このコードは構成音がIm6と同じなので、トニックグループとなります。b6上のコードは左ブドミナントグループですが、メロディックマイナースケールではナチュラル6上のコードになります。このコードの扱いがメロディックマイナースケールの特徴とも言えそうです。コードの機能は「メジャースケールと同じでトニックグループ」と覚えておくと良いでしょう。

VIIm7b5
このコードもメジャースケールと同じコードになります。ですので、コードの機能もメジャースケールの場合と同じで、ドミナントグループになります。

まとめ

メロディックマイナースケールのダイアトニックコード四和音をまとめると、このようになります。

Iマイナーメジャー7th  トニック
IIマイナー7th     (サブドミナントグループ)
bIIIメジャー7th(#5)  (トニックグループ)
IVドミナント7th     サブドミナント(場合によってトニックグループ)
Vドミナント7th     ドミナント
VIマイナー7th(b5)    (トニックグループ)
VIIマイナー7th(b5)   (ドミナントグループ)

メロディックマイナースケールのダイアトニックコードは新しく覚えるというよりは、今まで覚えてきたメジャースケール、ナチュラルマイナースケール、ハーモニックマイナースケールの組み合わせ、4と5、6と7が同じコードと頭に入れておくと身近に感じられるのではないでしょうか。

次回のトピックでは、3種類のマイナースケールを一つにまとめてマイナースケールのダイアトニックコードのまとめを解説する予定です。

その後は、ダイアトニックコードの知識を活かしてコード進行の世界に入りたいと思っています。

基礎的な音楽理論の解説から、それをどう使うかという実践的な内容になってきますね。

コードを自由に使えるようになるのももう少しです。

楽しみにしていてくださいね。

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それでは、次回のトピックでお会いしましょう。

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